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最高裁判所第一小法廷 昭和51年(オ)155号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人鵜川隆明の上告理由について

原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、上告人の本件行為は、被上告会社の企業秩序に影響を及ぼしその社会的評価を低下毀損するおそれがあると客観的に認められるものであるから、これを懲戒解雇事由とすることに格別の不都合はなく、また、右行為は、被上告会社の就業規則四八条一〇号所定の懲戒事由に直接該当するものではないが、同号所定の事由と違反の類型及び程度において同等の行為と認められるものであるから、同号の準用によりこれを懲戒事由に該当するものとして懲戒解雇をすることも許されるものと解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。右違法があることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤崎萬里 裁判官 団藤重光 裁判官 本山 亨 裁判官 戸田 弘 裁判官 中村治朗)

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